蒲田で餃子を食べる。
文字にするとごく普通の行動だが、この街では少し意味が違う。蒲田は羽根付き餃子の街として知られ、駅周辺には餃子の有名店がいくつも集まっているからだ。
せっかく蒲田へ来たのなら、羽根付き餃子を食べておきたい。できれば酒も飲みたい。しかし、会計はなるべく軽く済ませたい。
そんな都合のよい願いを、680円でかなえてくれたのが「你好 恵馨閣(ニーハオ けいしんかく)」だった。
今回注文したのは、元祖羽根付き焼き餃子とハイボール。それだけである。
品数だけを見ると控えめだが、蒲田らしさは十分に味わえた。
蒲田の羽根付き餃子を代表する「你好」
你好は、蒲田名物である羽根付き餃子の元祖として知られる店だ。
蒲田には餃子の有名店が多く、你好のほかにも「歓迎」や「金春」などの名前がよく挙がる。初めて来た人は、どこへ入るべきか迷うかもしれない。
ぜいたくな悩みである。
蒲田で餃子店を探して迷子になることはあっても、餃子を食べられずに帰る可能性は低い。それほど駅周辺には中華料理店が多い。
今回訪れた恵馨閣は、JR蒲田駅西口から近く、本格的な中華料理を気軽に楽しめる店舗だ。店内にはテーブル席が並び、一人でさっと食べるのはもちろん、複数人で料理を囲む使い方にも向いている。

メニューには餃子以外の中華料理も豊富に並ぶ。炒飯、麻婆豆腐、麺料理、炒め物。眺めていると、軽く飲むだけの予定が簡単に崩れそうになる。
それでも今回は、せんべろ調査である。
理性を保ち、ハイボールと羽根付き餃子だけを注文した。
まずはハイボールで準備を整える
先に運ばれてきたのは、350円のハイボール。

餃子と合わせる酒といえばビールが王道だが、ハイボールもかなり相性がいい。炭酸の爽快感があり、餃子の油をさっぱりと流してくれる。
一口飲むと、口の中が餃子を受け入れる態勢に入る。
まだ餃子は来ていない。ただ酒を飲んだだけなのだが、本人の中では立派な準備運動である。
冷えたハイボールを飲みながら待っていると、厨房から焼き上がった餃子が運ばれてきた。
羽根まで立派な「元祖羽根付き焼き餃子」
注文したのは、元祖羽根付き焼き餃子5個、330円。

皿の上には、餃子同士をつなぐように薄い羽根が広がっている。この姿を見ると、「蒲田で餃子を食べている」という実感が一気に増す。
まずは羽根の部分から口へ運ぶ。

パリッと軽い。
続いて餃子本体を食べると、こちらは皮にほどよい厚みがあり、羽根とは異なる食感を楽しめる。表面の香ばしさに加え、中からは肉と野菜のうまみが広がった。
羽根は見た目を華やかにするためだけの飾りではない。パリパリとした軽さを加え、餃子全体の食感に変化をつけている。
そのままでも味はあるが、途中から酢や醤油、ラー油を加えて食べるのもいい。少し味を変えると、次の一個がまた新鮮に感じられる。
5個という数も、軽く飲むにはちょうどよかった。少なすぎず、かといって食事を終わらせるほど重くもない。
餃子の後に飲むハイボールがうまい
焼きたての餃子を食べた後、ハイボールを一口飲む。
熱々の餃子に、冷たいハイボール。肉と野菜のうまみを炭酸がすっきりと流し、また次の餃子へ手が伸びる。
餃子を食べる。ハイボールを飲む。
この往復を繰り返していると、料理が一皿しかないことはあまり気にならない。餃子には皮、餡、焼き目、羽根と複数の要素があり、一皿でも思った以上に満足感があるからだ。
むしろ問題は、ハイボールが順調に減りすぎることだった。
餃子が酒を呼び、酒が次の餃子を呼ぶ。両者の連携がよすぎる。こちらは680円で終えるつもりなのに、餃子とハイボールは追加注文へ誘導しようとしてくる。
危うく店側の作戦に乗るところだった。
合計680円で蒲田名物を楽しめる
今回の会計は、ハイボール350円と元祖羽根付き焼き餃子330円で、合計680円。
千円以内どころか、700円を切った。
安い酒と簡単なおつまみだけで済ませるせんべろもいいが、今回は蒲田名物の羽根付き餃子を食べて、この価格である。
単にお腹を満たすだけではなく、「蒲田へ来て名物を食べた」という小さな観光気分まで味わえる。そう考えると、満足度はかなり高い。
餃子は5個あるため、一人でも食べ切りやすい。ハイボールとの組み合わせなら重くなりすぎず、待ち合わせ前の0次会や、飲み歩きの一軒目にも使いやすいだろう。
もちろん、しっかり食事をしたい場合は炒飯や麺料理を追加してもいい。複数人で訪れ、いろいろな中華料理を分ける楽しみ方もある。
ただ、「蒲田名物を安く、短時間で味わいたい」という目的なら、餃子一皿とハイボールだけでも十分に成立する。
蒲田で餃子せんべろなら、この組み合わせは強い
你好 恵馨閣の元祖羽根付き焼き餃子は、パリッとした羽根と、食べ応えのある餃子本体を一緒に楽しめる一皿だった。
そこへ冷たいハイボールを合わせて680円。

一人でも注文しやすく、価格も軽い。それでいて、蒲田らしいものをきちんと食べたという満足感が残る。
せんべろには、安さを追求する楽しみもある。しかし、限られた予算でその街らしい味に触れられるなら、さらに面白い。
その点で、你好 恵馨閣の羽根付き餃子とハイボールは、かなり優秀な組み合わせだった。
ただし、店内にはほかにも気になる料理が多い。
680円で終えることはできる。できるのだが、メニューをもう一度開いてしまった場合は、その限りではない。
蒲田の中華料理店で必要なのは、食欲よりも強い意志なのかもしれない。
※価格やメニューは訪問時の情報です。最新の内容は店舗でご確認ください。


