蒲田は、昼飲みの街だった。
いや、今でも昼飲みの街である。
ただし、以前ほど簡単ではなくなった。
かつての蒲田には、昼間から当たり前のように飲める店が多かった。昼下がりの駅前を歩けば、まだ太陽が高いのに、どこからともなくビールジョッキの音が聞こえてくる。ランチなのか、飲みなのか、人生の休憩時間なのか分からない人たちが、自然に店へ吸い込まれていく。
あの頃の蒲田は、昼飲みに対して非常に寛容だった。
というより、街全体が「飲む?」と聞いてきた。
しかし、コロナ禍を経て状況は変わった。営業時間の短縮、人手不足、客足の変化、物価高。いろいろな事情が重なり、以前のように昼から気軽に飲める店は少なくなった。
「蒲田なのに、昼飲みできる店が減った」
これは、蒲田民にとってなかなか重い事実である。
羽根つき餃子の羽根が一枚欠けたような寂しさがある。
だが、安心してほしい。
蒲田はまだ終わっていない。
昼飲みの火は、まだ消えていない。
かつてほど選び放題ではないにせよ、今でも蒲田には昼から飲める店がある。明るいうちからジョッキを持ち、少しだけ世間の時間割から外れることができる店がある。
今回は、2026年時点で蒲田昼飲みの候補にしたい店を紹介していく。
なお、営業時間や営業日は変更されることがある。昼飲み目的で行く場合は、訪問前に公式サイトやグルメサイトで最新情報を確認してほしい。蒲田は強い街だが、臨時休業には勝てない。
蒲田の昼飲みは減った。でもゼロではない
まず大前提として、蒲田の昼飲み環境は以前より少し厳しくなっている。
昔は、昼から飲める店を探すというより、「どこで飲むか」を選ぶ感覚に近かった。駅前、大衆酒場、中華、餃子屋、立ち飲み、チェーン系居酒屋。選択肢が多く、昼から飲むことに対して街があまりにも自然だった。
しかし今は、昼営業をやめた店、夜営業中心になった店、営業時間が変わった店もある。特に平日の昼飲みは、以前より選択肢が限られる印象だ。
だが、それでも蒲田である。
完全に昼飲み文化が消えたわけではない。むしろ、残っている店には独特のありがたみがある。かつてのように「昼からどこでも飲める」ではなく、「昼から飲める店を見つけたときの喜び」がある。
これはこれで、少し楽しい。
砂漠で水を見つけるほどではないが、平日の昼に営業している酒場を見つけた瞬間、「蒲田、まだ生きてる」と思える。
昼飲み店①蒲田大酒場(24時間営業)

まず候補に入れたいのが、蒲田大酒場。
名前からして強い。
大酒場である。
小酒場でも中酒場でもない。大酒場。店名の時点で、こちらの肝臓に対してかなり正面から向き合ってくる。
蒲田大酒場は、蒲田駅近くで昼から飲みたいときの頼れる候補だ。中華系のつまみを中心に、安く、早く、しっかり飲める。蒲田らしい“細かいことはいいから、とりあえず座って飲もう”という空気がある。
昼から中華つまみで飲む時間は、かなり幸福度が高い。
餃子、唐揚げ、炒め物、ハイボール。
この並びだけで、すでに午後の予定が少し危ない。
蒲田大酒場の良さは、肩肘を張らなくていいところだ。おしゃれな昼飲みではない。映えを狙う昼飲みでもない。もっと実用的で、生活に近い昼飲みである。
今日は少しだけ早めに飲みたい。
昼からガツンといきたい。
高級感より、安さと勢いがほしい。
そんなときにありがたい存在だ。
昼飲み店②大衆大衆酒場 酒楽(平日14時〜)

食べログの店舗情報では、大衆酒場 酒楽は蒲田駅から徒歩3分ほどの居酒屋で、営業時間は月〜木が14時から、土日祝日は12時からとされている。つまり、土日祝なら堂々と昼飲みできる。平日も14時からなので、かなり早い時間から“夜の練習”ができる店だ。
この店の良さは、いかにも蒲田らしい大衆酒場感である。
昼から飲むときに、必要以上のおしゃれはいらない。
必要なのは、入りやすさ、安さ、つまみ、そして「今から飲んでも許される気がする空気」である。
酒楽には、その空気がある。
昼の蒲田で飲む酒には、独特の背徳感がある。まだ世間は活動中。スーツの人も歩いている。買い物客もいる。なのにこちらはジョッキを持っている。
しかし、蒲田ではそれが妙に自然に見える。
酒楽のような店は、その蒲田らしい昼飲みの受け皿としてありがたい。土日祝の昼から飲める店を探しているなら、候補に入れておきたい一軒だ。
昼飲み店③ワッサイ酒場 蒲田店(平日11時〜)

ワッサイ酒場 蒲田店も、昼飲み候補に入れておきたい。
蒲田駅東口から近く、アクセスの良さが魅力だ。昼から飲むとき、駅から近いというのはかなり重要である。なぜなら、昼飲みは始まる前の理性がまだ強いからだ。
「駅から遠いなら、今日はやめておこうかな」
そんな真面目な自分が出てくることがある。
しかし駅近なら、その真面目な自分を振り切りやすい。
蒲田駅を出る。
すぐ店がある。
入る。
飲む。
この流れに無駄がない。
昼飲みは勢いが大事だ。考えすぎると、「やっぱりカフェにしようかな」などと人間らしい判断をしてしまう。蒲田に来た以上、それは少しもったいない。
ワッサイ酒場のような駅近店は、蒲田昼飲みの入口としてありがたい存在である。
昼飲み店④你好 恵馨閣(平日11時〜)

蒲田で昼飲みを語るなら、餃子を避けることはできない。
蒲田といえば羽根つき餃子。
餃子といえばビール。
ビールといえば昼飲み。
つまり、蒲田で餃子を食べることは、昼飲みへの一本道である。
你好 恵馨閣のような蒲田餃子系の店は、昼飲みにとても向いている。食事として入れるのに、ビールを頼んでも自然。むしろ頼まない方が少し不自然に見える瞬間すらある。
昼に餃子を頼む。
ビールを頼む。
「これは昼食です」と心の中で言い張る。
この言い訳が成立するのが、餃子昼飲みの素晴らしさである。
居酒屋に入るのは少し気が引ける。
でも昼から一杯飲みたい。
そんな人は、餃子屋を選ぶといい。
昼食の顔をした飲酒ができる。
これは大人の知恵である。
昼飲み店⑤杉玉 京急蒲田(平日11:30〜14:30)

京急蒲田方面で昼飲みするなら、鮨・酒・肴 杉玉 京急蒲田も候補になる。
蒲田の昼飲みは、どうしても大衆酒場や中華のイメージが強い。だが、たまには寿司で飲む昼もいい。
寿司をつまみながら飲むと、自分が少し上品な人間になった気がする。
実際には昼から飲んでいるだけなのだが、刺身や寿司があるだけで、なぜか許されている気分になる。
「これは酒ではなく、食文化です」
そんな顔ができる。
杉玉のような店は、友人との昼飲みや、少し落ち着いて飲みたいときにも使いやすい。大衆酒場ほどの荒々しさはないが、きちんと酒場として楽しめる。
昼から飲みたい。
でも、あまりにも“飲むぞ感”を出したくない。
そんなときにちょうどいい。
蒲田昼飲みの注意点
蒲田で昼飲みをするなら、まず営業時間を確認した方がいい。
繰り返しになるが、コロナ禍以降、昼営業や通し営業の状況は変わっている。以前は開いていた店が開いていないこともある。グルメサイトの情報が古いこともある。せっかく蒲田まで来たのに、店の前で「夜から営業」の文字を見ると、なかなか切ない。
また、昼飲みはペース配分も大事だ。
昼に飲む酒は、なぜか効く。
太陽の光を浴びながら飲むビールはうまい。
だが、その後の時間が長い。
昼から飛ばしすぎると、夕方には仕上がってしまう。夜に予定がある人は注意したい。逆に夜まで飲む予定の人は、もうそれは昼飲みではなく耐久競技である。
蒲田は店が多い。だからこそ、最初の一軒で飲みすぎない方がいい。二軒目、三軒目の可能性を残しておくこと。それが蒲田を長く楽しむコツである。
蒲田の昼飲みは減った。でもまだ飲める
蒲田の昼飲み環境は、昔より少し寂しくなった。
以前はもっと気軽に、もっと多くの店で昼から飲めた。コロナ禍以降、営業時間の変化や人手不足、客足の変化もあり、昼飲みできる店は減った印象がある。
だが、それでも蒲田には昼飲みできる店がある。
中華で飲める。
餃子で飲める。
大衆酒場で飲める。
寿司でも飲める。
かつての蒲田が「昼飲み天国」だったとすれば、今の蒲田は「昼飲みの火を守る街」かもしれない。
選択肢は減った。
でも、完全には消えていない。
これは大事なことだ。
蒲田はまだ、昼から飲む人間を見捨てていない。
街のどこかには、まだ明るいうちからジョッキを置いてくれる店がある。
結論。
蒲田で昼飲みするなら、事前に営業時間を確認しろ。
そして、開いている店を見つけたら感謝して飲め。
蒲田の昼飲みは、昔より少し貴重になった。
だからこそ、今飲む一杯はうまい。


